求人票を読んで「ここ、良さそうだな」と思った人が、次にすることは何でしょうか。

施設名で検索します。

そして公式サイトを開きます。そこに住所と電話番号、診療時間しか載っていなかったとしたら——せっかく高まった興味は、そこで静かに下がります。

求人票の書き方を工夫し、媒体の運用も整えた。それでも応募が来ないとき、最後のこの一歩でつまずいていることがあります。

求職者は、応募前に必ず調べる

なぜ調べるのかというと、失敗したくないからです。

医療・介護の仕事は、職場を変えることの負担が大きい仕事です。人間関係も、仕事の進め方も、施設ごとに大きく違います。だからこそ応募する前に、少しでも情報を集めて安心したい。

求人票には書ききれないことがあります。どんな人が働いているのか。どんな雰囲気なのか。入ってから困らないか。それを確かめにくるのが公式サイトです。

ここで何も見つからないと、どうなるか。

「情報がない」という事実そのものが、判断材料になってしまいます。情報がないことは、中立ではなくマイナスに働きます。 他に候補があれば、そちらを先に受けるでしょう。

求人票と採用ページの決定的な違い

採用ページの強みは、制限がないことです。

求人票(ハローワーク) 採用ページ
職種名 28文字 制限なし
仕事の内容 360文字 制限なし
特記事項 600文字 制限なし
写真 枚数に制限あり 自由
動画 不可 可能
更新 手続きが必要 いつでも

ハローワークの求人票は600文字の特記事項が最大の欄でした。Indeedの無料掲載にも制約がありました。媒体はどれも枠の中で戦うことになります。

採用ページだけが、その制約から自由です。 自施設の魅力を出し切れる唯一の場所だと考えてください。

載せるべき3つのもの

1. 管理者・経営者の思い

なぜこの施設を運営しているのか。どんな職場にしたいと考えているのか。それを本人の言葉で書いてください。

求職者にとって、経営者や施設長がどんな人かは大きな関心事です。日々の働きやすさは、結局そこで決まると知っているからです。

書くときのポイントが2つあります。

立派なことを書こうとしないこと。 理念やスローガンは、どの施設のサイトにも似たような言葉が並んでいます。読み手には区別がつきません。それよりも、実際に考えていることを普通の言葉で書くほうが伝わります。

顔と名前を出すこと。 写真が1枚あるだけで、印象は大きく変わります。誰が責任者か分かる状態は、それ自体が安心材料になります。

2. 実際に働いている人の顔とコメント

求職者が最も知りたいのは、どんな人と働くことになるのかです。

職員へのインタビューを載せてください。内容は難しく考えなくて構いません。

  • 1日の仕事の流れ
  • 入職前に不安だったこと
  • 入ってみて実際どうだったか
  • どんなときにやりがいを感じるか

これは自施設の魅力を見つける10の質問で聞いた内容と、ほぼ同じです。あの作業をしていれば、素材はすでに手元にあります。

複数の年代・職種の人を載せるのが効果的です。求職者は、自分に近い立場の人を探して読みます。40代で転職を考えている人は40代の職員の話を、未経験の人は未経験入職者の話を読みたいのです。

⚠️ 職員の顔写真やコメントを掲載する際は、必ず本人の同意を得てください。 口頭ではなく書面が望ましく、「退職後も掲載を続けてよいか」まで事前に確認しておくと、後のトラブルを防げます。顔出しに抵抗がある方には、後ろ姿や手元の写真、イラスト、仮名での掲載といった選択肢を用意してください。

3. 不安を解消するQ&A

求職者が知りたいけれど、面接では聞きにくいことがあります。それを先に書いてしまうのが Q&A です。

よく不安に思われるのは、このあたりです。

  • 残業は実際どのくらいありますか
  • 有給休暇は取れますか
  • 夜勤は月に何回ですか
  • 未経験でも大丈夫ですか。教育期間はどのくらいですか
  • ブランクがありますが問題ありませんか
  • 何歳くらいの方が働いていますか
  • 人間関係はどうですか
  • 前任の方はなぜ辞めたのですか

ここで大切なのは、正直に答えることです。

良いことだけを書いた Q&A は、読めば分かります。「残業はほとんどありません」とだけ書いてあっても、信じてもらえません。「月平均5時間程度です。月末の記録の時期は少し増えます」と書くほうが、はるかに信頼されます。

答えにくい項目こそ、丁寧に書いてください。前の記事で書いたとおり、弱みは見方を変えればメリットになります。夜勤が多いことも、それを望む人には選ぶ理由です。

専用サイトを作らなくてもいい

「採用サイトを作る」と聞くと身構えるかもしれませんが、最初から立派なものを作る必要はありません。

まずは公式サイトに採用ページを1枚足すところから始められます。上の3つが載っていれば、それだけで求職者の判断材料は大きく増えます。

そして、忘れずにやってほしいことが1つあります。

求人票に採用ページのURLを書いてください。 ハローワークの特記事項欄にも、Indeedの原稿にも書けます。せっかくページを作っても、たどり着けなければ意味がありません。

逆に、採用ページからは応募フォームや問い合わせ先へすぐ進めるようにしてください。読んで気持ちが高まった状態のまま、次の行動に移せることが大切です。

やりがちな失敗

きれいすぎる。 プロが撮った写真とスローガンだけのページは、どこの施設のものか分かりません。多少粗くても、実際の職場の写真のほうが伝わります。

更新が止まっている。 「◯年度 新卒採用」の情報が何年も残っていると、この施設は動いていないのかと思われます。載せた人が退職したままなのも同様です。年に1回は見直してください。

スマホで読みにくい。 求職者の多くはスマートフォンで見ます。文字が小さい、横スクロールが必要、電話番号を押しても発信できない——こうした状態は、それだけで離脱の理由になります。

応募方法が分からない。 ページを読んで応募したくなっても、どこから応募すればいいか分からなければ終わりです。

まとめ

求人票の次に見られるのは、公式サイトです。そこに情報がないことは、中立ではなくマイナスに働きます。

採用ページに載せるべきものは3つです。

  1. 管理者・経営者の思い — 立派な言葉ではなく、実際に考えていることを。顔と名前を出す
  2. 働いている人の顔とコメント — 複数の年代・職種を。掲載前に本人の同意を必ず取る
  3. 不安を解消するQ&A — 聞きにくいことを先に。正直に書くほど信頼される

そして採用ページは、文字数の制限がない唯一の場所です。求人票では600文字に収めるしかなかった魅力を、ここでは十分に伝えられます。

まずは公式サイトを開いて、求職者の目で見てみてください。 ここで働く自分を想像できるでしょうか。住所と電話番号しか見つからないようであれば、そこが今いちばんの伸びしろです。

なお、ページを読んで気になった人に次へ進んでもらうには、見学の案内が有効です。進め方は見学に来ても応募につながらない|職場見学を相互判断の場にするにまとめました。